昔から「ウソつきは泥棒の始まり」と言われます。全くその通りで、特に学校教諭・塾講師・家庭教師等々、立場は違っても仮にも先生と呼ばれる者が、生徒にウソをつくなどもっての外です。ところが、入学試験・模擬試験・定期試験等、各種の試験では、問題の中に堂々とウソがまかり通っています。「次の中から正しいものをひとつ選びなさい」という形式の選択問題がそれで、五択問題なら正解以外の四つの選択肢はウソということになります。ことわざとは便利なもので、この場合は「ウソも方便」です。
白紙の状態から解答を作り上げていく記述問題と違い、選択問題は結果オーライの扱いを受けることが多いようです。山カンでも偶然でも正解を選んでいれば、自分の中で理解し終わった問題として処理したがる生徒が少なからずいます。けれども、全ての選択肢をしっかりと読み、何故この選択肢が正解で、他の選択肢が誤りなのかをきちんと考えないと、いつか大きな失点をしてしまうでしょう。従って、最低限、問題練習の時だけでも「全ての選択肢の熟読、そして熟考」は必須の作業です。
実は、誤りの選択肢はトンチキなネタが満載です。社会の歴史なら、何百年も前の人物がタイムスリップしたかのように現れたり、理科なら、地球上ではありえない現象が起こったりします。関西人なら、思わず「なんでやねん」「そんなアホな」と呟いてしまうほど、いくつもツッコミどころがあります。しかし、選択肢にはトンチキなネタだけでなく、もしかしたら正解かもしれないと思わせる内容も含まれているわけですから、あやふやな理解だと出題者が仕掛けた罠にまんまとはまってしまいます。
また、大学入試ではセンター試験はもちろんのこと、私立大学入試でも選択問題(マーク式問題)が大半を占めています。将来を見据えて、今から「全ての選択肢の熟読、そして熟考」の癖をつけても早過ぎることはないでしょう。
もっとも、入学試験で時間が足りなくなった非常事態には、選択問題を空欄にしておくのは得策ではありません。ウソでもよいので、とにかく空欄を埋めなければなりません。
(朝日小学生新聞 第35回 2008年2月6日掲載)
選択問題を丁寧に扱う先生がいます
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